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2025-03-26 MAiL 不動産

小さなまちの大きな変革これからの地方創生

「移住者増の人気地ベスト100」全国第1位のまち

茨城県境町は、茨城県の南西部に位置し、埼玉県や千葉県と隣接する人口約23.8万人の町。東京都心から約50km圏内にあり、首都圏へのアクセスの良さが魅力の一つとなっている。圏央道の開通により交通利便性が向上し、都心で働きながら地方で暮らす「デュアルライフ」や、都市近郊での子育てを望む家族にとって、移住先としての注目度が高まっている茨城県境町が今年、「移住者増人気地ベスト100」で第1位に輝いた。 その背景には、単なる自然環境や利便性だけではなく、地方創生の最前線ともいえる先進的な政策がある。本記事では、境町がどのような挑戦を続けているのか、その取り組みを紹介しながら、これからの未来都市としての可能性を探っていく。

先進的な政策

境町では、移住者支援策の一環として「25年間住めば住宅が無償でもらえる」制度を導入している。これは、町が建設した新築住宅に一定期間住み続けることで、最終的にその住宅が住民の所有物となるという画期的な取り組みだ。この制度の対象となる住宅は、最新の省エネ設備を備えた高性能な住居で、家族向けの広々とした設計が特徴。移住者にとって、住宅取得の大きな負担を軽減できるだけでなく、長期的に境町に根を下ろして暮らすキッカケとなる。

また、住宅を提供することで若い世代や子育て世帯の移住を促し、地域の人口減少を抑える狙いがある。さらに、町としても新たなコミュニティの形成を支援し、住みよい環境づくりに力を入れている先進的な政策がある。それは地域交通の利便性向上を目指す、全国に先駆けた自動運転バスの導入だ。この取り組みは、高齢者の移動支援や、公共交通の維持・発展に大きく寄与している。特に、交通手段の少ない地域においては、自動運転技術を活用することで住民の移動負担を軽減し、生活の質を向上させている。この自動運転バスは、境町内の主要な施設や商業エリアを結び、住民の買い物や通院、通勤・通学をサポートしている。全国的にも注目される事例となっており、他の自治体への波及効果も期待されている。

「英語移住」を目指す教育環境

先進的な政策は、住まいのサポートや交通インフラの整備に留まらない。境町の子育て支援の特徴は医療費や保育サポートだけではなく、子どもたちに国際的な視野を育むために、積極的な英語教育を実施している。特に注目すべきは、5歳から英語教育を始め、この段階で英語に親しみ、英語を使うことに対する抵抗感を無くし、小学校や中学校では、コミュニケーション能力を高めるための実践的な学習を取り入れている。具体的には、全ての小中学校に外国人講師を在中させ、夏にはイングリッシュサマースクール&キャンプを実施している。さらに自己負担金0円で姉妹都市であるアメリカ・ホノルル市との交流プログラムにより、毎年数十名の小中学生をホノルル市にホームステイさせ、現地の文化や生活を体験させることで、英語を学ぶモチベーションを高め、異文化理解や国際的な経験を通じて、グローバルな視点を持たせる教育に力を注ぎ、地域全体を国際的に開かれた町にしていくことを目指している。

財源はどこから?

さて、これまでに紹介した、住まいの支援施策・地域インフラの整備・英語教育の強化など、多岐にわたる政策の財源はどこからきているのだろうか。もちろん、国や茨城県からの補助金や交付金もあるが、境町を支える財源構成の主力として、ふるさと納税の活用が挙げられる。境町は、地元産品を生かした魅力的な返礼品を提供することで、多くの寄付金を集め、総務省が発表した2024年度の寄付金額ランキングベスト50では全国で11位となり、関東圏においては1位となった。そして、得た財源を地域のインフラ整備や教育環境の充実に活用し、住民サービスの向上につなげているのだ。さらに、地元産の特産品はもちろん、町が誇る高品質な食材や工芸品が全国的に人気を集めており、地域の生産者や事業者の活性化に寄与し、町全体の経済循環が生まれている。ふるさと納税の成功を通じて、境町は「寄付を集める町」から「持続可能な成長を遂げる町」へと進化を遂げており、今後もこの仕組みを活かしてさらなる発展が期待される。

これからの地方創生

境町の成功は、単なる地方創生の一例ではなく、これからの日本の地方都市が目指すべきモデルケースともいえる。画期的な住宅支援策をはじめ、移動手段の革新やグローバルな英語教育など、あらゆる側面で先進的な施策を展開している。今後は、さらに多くの企業誘致や、働く場の創出が求められる。リモートワークの普及に伴い、地方にいながら都市部の企業と連携できる環境づくりも重要な課題となるだろう。境町の挑戦は、これからも続くわけだが、全国の自治体にとっての先進モデルとなることを期待したい。

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マーケター

藤原健太

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