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2024-06-28 MAiL 不動産

改めて注目したい、 厚木市の実力。

「共働き子育てしやすい街ランキング」3年連続で神奈川県内第1位に選出されている厚木市にフォーカスし、このランキングで神奈川県内トップを維持し続ける理由を探りながら、ファミリータイプの新築マンションの売れ行きや、今後の市場動向の可能性を考察していきたい。

はじめに

本記事では、筆者が業務の一環として行っている新築マンションや新築戸建ての市場調査において、調査地のエリア特性を模索する際、多種多様な企業や組織から定期的に公表されている様々な「〇○○○街ランキング」を考察するのだが、その中でも日経xwomanから発表されている「共働き子育てしやすい街ランキング」は、その地域の訴求要素に活用できるとして、様々な不動産関連企業や行政区から注目度の高いランキングとなっている。 
今回は、その「共働き子育てしやすい街ランキング」において、毎年のようにランキングの常連であり、2023年度版では全国第11位(図表①)、神奈川県内では2021年度~2023年度まで3年連続で神奈川県内第1位に選出されている厚木市にフォーカスし、このランキングで神奈川県内トップを維持し続ける理由を探りながら、ファミリータイプの新築マンションの売れ行きや、今後の市場動向の可能性を考察していきたい。

豊富な子育て支援策

厚木市の子育て支援に関するサービスや事業の中で共働き世帯に嬉しい特徴的なサポートを2つ紹介したい。まず1つ目は、幼稚園送迎ステーションだ。このサポートの仕組みは、朝の幼稚園の預かり時間前にお子様をお預かりして、共働き夫婦に代わって各幼稚園までバスで送迎し、幼稚園の預かり時間終了後も19時半までお子様をお預かりするという支援サービスの1つである。これにより共働き夫婦が安心して働ける環境づくりに貢献している。2つ目は、ファミリー・サポート・センターである。このサポートの仕組みは、育児援助を受けたい「依頼会員」と育児援助を行いたい「提供会員」がお互いに支え合う活動となっている。具体的な援助内容は、仕事や突発的な事情が発生した依頼会員が、提供会員に対して、時間単位で一定料金を支払うことで、お子様の一時的な預かりや、幼稚園への送迎を提供会員から援助してもらえるサービスとなっている。

他にも共働き夫婦に限らず、子育て世帯への支援は手厚く、母子手帳をアプリ化することで、様々な機能プラスし、健康状態の共有やスケジュール管理ができる「母子モ」の開発や、24時間365日対応可能な子児・周産期の救急医療体制の確立、医療費の全額負担や子育て世帯における住宅取得費用の一部補助などの金銭的サポートを含めた施策や特徴が20項目も存在する。この充実した子育て支援と環境が「共働き子育てしやすい街ランキング」3年連続で神奈川県内トップを維持している要因となっている。

新築マンションの市場はいかに

そんな子育て環境に定評のある厚木市だが、実際にファミリーに人気のエリアなのか否かを新築マンション市場から検証していきたい。2018年度~2023年度にかけて供給されたファミリータイプマンションの9物件のデータが図表②である。その中で注目したいのが、月平均契約数だ。2018年度~2019年度の2年間における月平均契約数が5.3戸に対して、「共働き子育てしやすい街ランキング」で神奈川県内第1位となった2021年度~2023年度の直近3年間における月平均契約数は8.3戸と、プラス3戸も伸びていることが分かる。

この月平均契約数を押し上げた物件の1つが、2022年11月に販売を開始した三菱地所レジデンス株式会社の「ザ・パークハウス本厚木」である。子育て環境以外にも好調の要因として、全戸南向き住戸であり、専有面積が最大85㎡台、平均して70㎡強のゆとりある設計が、条件志向の顧客層に評価が高く、周辺にはイオン・市役所・図書館などの利便施設が充実していたことが挙がられる。次に2023年9月から販売を開始している新日本建設株式会社の「エクセレントシティ本厚木駅前」であるが、「本厚木」駅徒歩1分、本厚木駅北口地区市街地再開発事業と行政再開発エリアの中心に立地しており、本厚木駅東口地下道を利用することで、天候に左右されない駅までのアプローチが魅力の1つとなっている。さらに、複数の再開発が進行していることで、将来性に期待が高まっていることも好調進捗の要因となっている。

今後の市場成長はあるのか

そんな住宅需要も活況な厚木市だが、今後更に人気が高まる可能性はあるのだろうか。少し話が逸れてしまうが、不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」で発表されている「住みたい街ランキング」において、市内の本厚木が「借りて住みたいランキング」を2021年度~2024年度の4年連続で1位を獲得し、「買って住みたい街ランキング」においてもTOP10の常連となっており、すでに評価されている街であることは間違いない。その事実も踏まえて実際に人口統計を調査したところ、直近3年間はほぼ横ばいであり、人口増加は見られなかった。しかしながら、前述で好調要因を記載した2つの物件を含む2021年以降に供給された物件の購入者特性を調査したところ、購入者の前居住地の範囲が2020年以前の物件と比較して広がっていることが分かった。

2019年度までの物件における購入者の前居住地は厚木市内が約70~80%、伊勢原市や秦野市から各10%前後がボリュームゾーンであったが、2021年以降供給された物件における購入者の前居住地を見ると、厚木市内が約40~50%、海老名市・座間市・相模原市・平塚市・町田市といった市外の中広域から満遍なく獲得しており、中には東京都からも購入者も存在していた。新築マンションの購入者データによれば、市外から厚木市へ移住している傾向は増加していると言える。
よって、再開発がより目に見える形まで進行していけば今以上に需要の高まる人気を博す可能性を秘めている。そんな厚木市の動向に今後も着目していきたい。

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マーケター

藤原健太

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