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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2024-04-25 MAiL 不動産

シェアハウス市場の成長は「デジタルノマド」がカギを握る⁉

コロナ渦で停滞を続けていたシェアハウス市場に大きな転換期が
訪れようとしている。インバウンドの再開や、柔軟性が高い働き方
「デジタルノマド」の拡大がシェアハウス市場に
どのような追い風となるのか、その可能性を紐解いていく。

シェアハウスの現状

一般社団法人日本シェアハウス連盟が発表した「シェアハウス市場調査2023年度版」によると、2023年度における全国の物件数は5808棟で昨年対比201棟の増加となった。2016年に飛躍的に市場を拡大させたが、新型コロナウイルスがもたらした情勢により、その後は停滞、2021年には市場規模の減少が見られたのだが、コロナ渦が収束しインバウンドの再開によって、国や自治体も補助制度を改めて検討するなど、業界に注目しているという。

コロナ収束後の課題とは

一つの賃貸住宅に複数人が共同で暮らす「シェアハウス」はコロナ禍で他人との接触への抵抗感が大きな障壁となっていたが、コロナ渦で生まれた生活様式に合わせ、シェアハウスも変化し、個人空間にキッチンや風呂等を完備したプライベート空間を充実させた「進化系」の登場など、シェアハウス事業者はプライバシーやセキュリティに重点を置いてきた。また、デジタル技術の活用により、オンラインでの契約手続きや支払い、コミュニケーションアプリの提供など、居住者の交流や情報共有にも力を注ぐなど、その努力によって2022年度から微増ではあるが、2年連続で市場を伸ばしたのだ。しかしながら、国内在住の入居者の回復は、コロナ渦前の2019年度と比較すると約7割程度に留まっており、インバウンド需要だけでは、成長の見込みや安定性のある集客へ課題が残されている。

注目の働き方「デジタルノマド」

市場規模を伸ばす上で、国内在住の入居者の回復も重要ではあるが、現在の主要顧客は外国人となっており、その多くは長期滞在の訪日外国人客や、日本で賃貸住宅を契約するのが難しい外国人の受け皿になっていることから、外国人を中心に市場戦略を考える方が望ましい。また、法務省は2024年4月1日から「デジタルノマド」ビザ制度を開始し、これにより在留資格の条件緩和や最長6ヶ月の滞在がビザ無しで可能となり、これまで以上に日本で働く外国人労働者は間違えなく増加する。そして、世界を見れば「デジタルノマド」の市場規模は現在、約3500万人となっており、コロナ渦の収束後において最も注目を浴びている働き方となっている。

日本にマッチする「シェアハウス」

そもそも「デジタルノマド」という概念と用語が登場したのは1990年代であり、通信環境とデバイスの進化に伴い、アメリカで発祥した新しいライフスタイルとして誕生した。さらにコロナ渦で人々がリモートワークを定着させ、自由な働き方や場所に縛られない生活を実現する新しい働き方としての象徴となっている。世界各国では一早く、入国制度やビジネス環境を整える国もあれば、反観光客・反外国人への抗議活動などが問題となっている国など、様々な事情が散見されている中、ようやく日本政府も「デジタルノマド」の誘致を前進させたところである。お隣の韓国では、日本に先駆けて2024年1月1日からデジタルノマド制度を開始し、最長2年間の滞在が可能となった。また、同じくアジア圏のタイでは滞在期間が最長4年間であることから日本の滞在期間は短いとの意見も上がっているが、これまで大きな課題であった入国手続きにおける改善は図れるであろう。しかしながら、日本には、独特の文化・風習が多く、文化や言語に関するサポート、住宅などを借り受ける際の保証人や敷金・礼金など日本の商慣行への対応策が不可欠となるのは間違いない。

そこで、日本におけるデジタルノマドに素早い対応とニーズに応えることが期待されているのが、シェアハウスなのだ。

シェアハウス市場拡大のために

実際、大手の出店意欲は旺盛であり、業界最大手の株式会社オークハウスは現在の国内約4,600室から今後10年間で海外展開も含め5万室規模に増やす計画を掲げている。また、株式会社シェア180は中部地区を中心に現在約1,000室を運営しているが、全国への展開で3年後には倍増の計画を進めている。日本でもリモートワークの普及が進む中、地方創生や地域活性化の一環としてデジタルノマドの拠点となる地域が注目されており、東京や大阪などの都市圏以外に、自然豊かな地域や歴史ある街並みを活かした魅力ある環境が、外国人デジタルノマドの集まりやすい場所とされている為、地方においても、高速かつ安定したインターネット接続や、クラウドサービス等のインフラ整備やコワーキングスペース、そして何よりも住居の整備が重要になる。デジタルノマドが求めるものは、自国よりも安価で安全、あるいは気候の良いところでネットを使った仕事ができる環境。付随して、住みやすさ、楽しさ、居心地のよさも求められている。

その為、世界的な潮流となっているデジタルノマドが行きたい国のひとつが「日本」となっており、このニーズをうまく捉えることがビジネスチャンスであり、シェアハウス市場にどのような影響を及ぼすのか、成長させる大きなカギとなることに注目をしていきたい。

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マーケター

藤原健太

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