郊外エリアの新たな穴場⁉「新鎌ヶ谷」駅周辺の可能性とは。
NEW昨今、不動産業界の中で動画の活用度合いは事業主によって様々だ。積極的な事業主もいれば予算に見合わないと判断して消極的な事業主もいる。では実際に動画というのはどれほど有効性があるのか。本記事では広告という観点から実際の事例をもとにその有効性を確かめていきたい。
動画広告における市場規模【グラフ①】
広告において動画媒体を活用しているか否かは事業主によって様々だが、不動産に限らず市場全体はどのように推移しているのだろうか。サイバーエージェントが毎年出している動画広告の市場規模を表すデータ(グラフ1)によると2018年当時は約1,800億円だったものが、2022年には約5,600億円にまで成長している。コロナ禍での家時間の増加や5Gの到来といった社会的な背景がこの規模に成長させていることが考えられる。また動画媒体を展開する企業側の取り組みが活発であることも要因の1つだ。例えば中国初のショート動画に特化したSNSサービス「Tik Tok」はここ5年間で急成長を遂げて昨今はメジャーな動画媒体の1つになった。
2022年にはFIFAワールドカップ2022を「ABEMA」がかつてテレビで放映していたことにとって代わり、全試合無料中継を実施。テレビの見逃し配信サービスを展開する「TVer」は2023年よりセルフサーブと呼ばれる事業主や広告代理店が直接広告運用の操作が出来るサービスを展開し、広告掲載をどの企業でも手軽にできるような取り組みを行っている。このように社会的背景や事業主側の取り組みによって成長し続けている動画広告市場だがサイバーエージェントでは更にこの市場規模はさらに拡大されると予想しており、その額は2025年に1兆円を突破すると見込まれている。不動産業界でも事業主によってはまだリアル媒体を中心に集客している事業主も少なくないが、今後はそれらがwebに置き換わり、動画展開も増す傾向にあるだろう。
動画広告のメリット・デメリット
そんな勢いを増す動画広告だがメリット・デメリットとしてどんなことがあるのか整理していたい。1つ目のメリットは言わずもがなテキストや写真と比較して動画の方がストーリー性や聴覚情報もあるため情報の密度が濃いことだ。2つ目として1つ動画を制作してしまえば広告以外の展開も可能という点だ。広告用に制作した動画をHP内や物件のモデルルームorモデルハウス・自社のYouTubeチャンネルなどあらゆる媒体に展開ができる。逆に広告以外の目的で制作した動画を広告に回す事例も少なくないだろう。では逆にデメリットはどんなことが考えられるだろうか。
1つ目は制作費の問題だ。動画の制作は当然画像のバナー広告等と比較すれば費用は大きくかかってしまう。限りある広告予算の中の1つとして動画を制作するか否か、実際に顧客獲得に見合うのかという点で懐疑的になるのも無理はない。但し、最近では広告に使用する動画も作り込み過ぎないことで予算を抑える、或いはAIを利用して安価に制作する手法まで現れているためこのデメリットがクリアする手法も存在する。2つ目は制作しても単純に通信制限等でユーザー側に問題があれば閲覧へのハードルが生まれることだ。ただこれも5Gの到来などで問題は緩和される傾向にあるためいずれこのハードルはなくなると見て良い。
動画広告の有効性
では実際に動画広告の有効性はどれほどのものなのか。不動産業界における実際の事例を元に紹介していきたい。有効性を示していくにあたって、媒体による違いもあるため今回はFacebook・Instagram広告(META広告)で統一し、静止画と動画で比較をしてその成果を確かめていきたい。
■東京都〈新築分譲戸建て案件〉
静止画…クリック率:3.8%・獲得単価:計測不可(獲得なし)
動 画…クリック率:4.6%・獲得単価:¥18,000
■千葉県〈新築分譲戸建て案件〉
静止画…クリック率:0.8%・獲得単価:¥57,000
動 画…クリック率:1.7%・獲得単価:¥42,000
■茨城県〈新築分譲戸建て案件〉
静止画…クリック率:0.8%・獲得単価:¥93,000
動 画…クリック率:1.3%・獲得単価:¥21,000
※いずれも2024年1月成果・案件ごとにセグメントの違いはあるが案件内では統一
上記より静止画と比較すると動画の方がクリック率=0.5pt~0.9pt高いことが窺え、資料請求と来場予約を合計した獲得単価では最大で1/4まで抑えることができている案件事例も存在する。すなわち動画の方が動きあるため視認性が高くクリックされやすい、これはイメージの話ではなく実際の数字からも有効性が高いと言えそうだ。また獲得単価の圧縮もできていることから、動画によって興味喚起を図ることも静止画と比較すれば優れていることが見てとれる。
不動産業界の動画広告の将来像
動画の有効性が更に認知として高まっていけば、より動画で物件や事業主のことを知る機会も増えていくだろう。既述した通り、昨今ではAIに任せた動画制作手法もあるが、より技術が進歩していけば、クリエイティビティ溢れる動画を安価に作ることが出来る時代もくるかもしれず、そうなれば更に動画広告を採用する事業主は増えるだろう。もしそのような未来が来たら、例えば家を探す際に多くのユーザーが利用するポータルサイトも動画で好きな物件の情報を得ることができるポータルサイトとして機能していく、或いはリスティング広告(検索広告)では広告文の横に画像を掲載することが可能だが、これが動画に置き換わる設定が今後出る可能性もある。HP内はコンセプトムービーだけでなく、プランやロケーションもそれぞれ動画にまとめるなどHP内のコンテンツが動画でほとんど完結することも考えられる。不動産業界においても広告を実施するにあたって動画を制作することは当たり前になる。そんな時代はもしかするとすぐ近くなのかもしれない。