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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2023-03-24 MAiL 不動産

QRコードから紐解くリアル媒体の有効性

昨今、オンラインやDXといったデジタルな媒体や手法に広告はシフトしているのは周知の事実だが、新築マンションや新築戸建てを販売する際の広告手法として、リアル媒体(特に投函チラシ)は未だ顕在。完全にリアル媒体を脱している事業主はまだ少ない。そんな中でリアル媒体の効果は今でも表れているのか。それを計測する1つとしてあげられるQRコードによる実際のデータから検証していきたい。

リアル媒体の大きな弱点

新築マンションや新築戸建てを販売する不動産業界において、広告の手法として未だにリアル媒体(特に投函チラシ)を実施するのはマストである場合が殆どだ。世間では“DX”といった言葉がコロナ禍に突入して加速的に浸透し、チラシを始めとしたリアル媒体主流の流れを脱した業界も多いだろう。しかし不動産業界に至っては商圏が限られている点もあり、限られたエリアに集中的に広告するためにリアル媒体を実施することは今でも一般化したままだ。確かに集中的に限られたエリアに広告するのであればリアル媒体の有効性は失われていないかもしれない。

しかしその一方で、弱点もある。それはデジタル媒体と違って効果検証がしづらい点だ。仮に同じエリアに広告するにしても、デジタル媒体であれば広告がどれだけ見られ、そこからどれだけの人が公式サイトに流入してくれたのかを定量的に把握することができる。しかしチラシなどのリアル媒体の場合、どれくらいの人が見てくれたのか、どれだけの人が広告を見て物件サイトに訪れたのか、そして資料請求・来場したかが把握しづらい。
強いて言えば、資料請求や来場した際にとるアンケートでわかるくらいだろう。そんな弱点をリアル媒体ははらんでいる。

リアル媒体の効果測定

しかしそんな中でもリアル媒体の効果を測る方法として用いられるのがQRコードだ。公式サイトや来場予約フォームなどにリンクさせるためのQRコードを媒体にデザインすれば、そこからどれだけの人が流入したか、QRコードを読み込んだ後に資料請求・来場予約をしたかなど計測することが可能だ。これは実際にQRコードのリンク先のURLにパラメータ設定という計測するための設定を施すことで可能になる。当然、媒体を目にし、興味をもった人全員がQRコードを読み込むわけではなく、自分で検索をかけて調べる、或いは媒体に表記された番号へ電話したりなど興味喚起後の行動は人によって異なるため、有効性をQRコードだけで判断することはできない。それでもQRコードが読み込まれていれば、リアル媒体が作用していることを確かめることができる点からも単なる所感だけの増減に頼るよりかは確実性が高い。

実際の効果はいかに

では実際にQRコードの経由での公式サイトへの流入や資料請求・来場予約を元にリアル媒体の有効性に関して傾向を見ていきたい。下記は投函チラシを実施し、QRコードからのアクセス、資料請求・来場予約を1カ月単位でまとめたものであり、いずれもweb広告と並行して効果検証を行っているため、それらとも比較して見ていきたい。

・東京23区新築マンション案件…2023年2月後半に投函チラシを実施
⇒QRコード経由アクセス37件・資料請求1件・来場予約2件

・茨城県日立市新築マンション案件…2023年2月に投函チラシを実施
⇒QRコード経由アクセス73件・資料請求4件・来場予約3件

・宮城県仙台市新築戸建て案件…2023年2月中旬に投函チラシ(キャンペーン告知)を実施
⇒QRコード経由アクセス33件・資料請求0件・来場予約12件

これら3案件の傾向を見ると、地方⇒郊外⇒首都圏の順で効果が高いことが見て取れる。案件ごとにweb広告と比較しながら見ていくと①の案件については獲得媒体の主流はリスティング広告であり、補完として投函チラシのQRコード経由で獲得が見られている程度だった。②の案件については投函チラシとリスティング広告が同等に獲得媒体として作用していた。その他にもディスプレイ広告やSNS広告も実施しているが、それらを以上にQRコード経由からの獲得が見られている。③の案件については、web広告経由の獲得が息切れしてきたタイミングでの成果だった。特にアクセスについては①の23区新築マンション案件と同等であったにも関わらず、アクセスした人の約3分の1が来場予約に至っており、非常に効果媒体として作用した。

リアル媒体が強いエリアもまだまだ健在

上記の点から、リアル媒体の効果も首都圏から離れた郊外・地方エリアほど、作用している傾向が見て取れた。元々、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大により、今までデジタル化に対応していなかった業界もデジタル化の流れに乗り、これを機にリアルなもの(もちろんその中には広告も含まれる)がデジタルなものへと置き換わると予想していた者もいたかもしれない。しかし実際に蓋を開けてみると、まだまだリアルが生きてくるシーンもあり、不動産業界における広告ではそれがエリア性という形で表れた。この先、不動産業界における広告でもまだまだリアル媒体が生きてくるシーンは途絶えない可能性が高いかもしれない。そんな中で各エリア性を掴んでいくために、リアル媒体にも効果検証できる仕組みを更に整えていくことで、より効率的な顧客へのアプローチ方法がわかってくるだろう。

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マーケター

大山恭平

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