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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2020-03-25 MAiL 特集記事

単身シニア層の新築マンション購入が増加。その訳と今後とは。

人生100年時代における老後プラン。新築マンションへの住み替えが合理的。

日本の少子高齢化はますます進んでいく中、
新築マンション市場においても増加するシニア層の取り込みはキーと成りうる。
そんな中で、昨今単身シニア世帯の新築マンション購入が増加傾向にある。
購入者はそこにどんなメリットやマインドがあり、購入に至るのであろうか。

戸建て<新築マンション

以前、当社で毎月とっているアンケートにて「あなたが現在、ご自身で購入したいと思う商品を全てお答えください」という内容でとったところ下の図①のような結果が出た。
少々驚きなのは50代以上における住宅需要は戸建てよりも新築マンションの方が際立って多いことだ。一般的に住宅購入のメインと言える、30代は新築マンション,新築戸建て(分譲),新築戸建て(注文住宅)どれをとっても7.5~8%と大きな差はない。一方で、50代を見ると、新築戸建て(分譲)が2%、新築戸建て(注文住宅)が6.5%なのに対し、新築マンションは9.5%と最大で7.5ptの差が出た。また60代以上も新築戸建て(分譲)が2%、新築戸建て(注文住宅)が4%なのに対し、新築マンションは5.5%と最大で3.5ptの差が出ている。

一体なぜシニア層は新築マンションを戸建てよりも購入したがるのだろうか。理由は大きく3つある。1つ目は利便性のメリットである。駅近・買い物施設近くの物件を購入すれば車での移動がメインだった人は運転の労力が減り気軽に移動や買い物が可能となる。高齢者ドライバーが問題視される昨今では家族の安心も同時に買うことが可能となるのも利点である。2つ目は管理が楽な点だ。これまで戸建て等の広い家に住んでいた層はメンテナンスに時間を割かなければいけなかったが、マンションであれば(特にコンパクト)この時間は大きく減少する。3つ目は資産性である。60代を超えれば終活を考え始める時期でもあり、万が一の際も賃貸物件として貸し出せる、自分の子どもに相続できるなどの利点は大きい。これらの利点を考えると戸建てよりも新築マンションの購入を望むことは合理的と言える。

動き出すのは単身世帯

実際に新築マンション市場においては購入したいというマインドだけではなく、既に動き出す人も増加している。特に単身世帯においてその傾向が強く表れており、2010~12年度の単身購入者のうち50代以上の割合は20%程度であったのに対し、2018~19年で30%超にまで伸び、中でも女性に限ると、40%近くにまで伸びているというデータもある。実際に最近のコンパクトマンション事例を見ていくと一定数50代以上の購入があったことがわかる。

3物件とも駅近物件であることが特徴的であり、既述した利便性や資産性を考慮していることがうかがえる。また上記物件以外も含めて単身シニア層が新築マンションを購入しようと思ったきっかけを調査すると「実家暮らしであったが親が他界し、引っ越しを検討」「あと数年で定年退職となるため終の棲家を購入しようと思った」「パートナーが他界し、現在の戸建てでは広過ぎる」「子どもや孫の側に引っ越そうと考えた」などがあるようだ。また購入前の居住形態を調査すると50代は賃貸・社宅・実家からの購入が50%弱、60代以上は戸建てや分譲マンションからの買い替えが80%超であった。すなわち単身シニア層の購入の流れは主に未婚層が終活の一環として購入、または既婚層が独り身となったことで買い替えを決心するといった大きく2つのパターンがあるようだ。

事業主への影響

では今後、このシニア層の購入者割合が増加していくと、事業主にはどんな影響が表れるのだろうか。まず考えられるのはシニア向けのマンション供給が増加することだ。昨今でもシニア向けのマンション自体は実在するものの多いとは言えないのが現状だ。段差や高い位置の収納を極力削り、バリアフリーな設備仕様のシニア向けマンションは今後増加していくだろう。次に考えられるのは集客戦略である。今後このシニア層を如何にして取り込んでいくかはキーになるが、例えばそこで「パートナーが他界し、子どもや孫の側に住みたい」という単身シニア層をターゲットにするならば、2世代で2戸購入した方には割引といったキャンペーンも考えられる。事業主サイドもこういった未来を如何に予想し、準備していくかが今後の新築マンションを売っていく上で重要になり、メイン購入者がシニア層となる未来も近いかもしれない。

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大山恭平

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