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フィットネス業界の新たなビジネスモデルを考察
不振が続く大型フィットネスクラブだが、各企業打開策を常に考案をしている。
例えば、コナミスポーツクラブは体育授業の一部を請け負う事業に取り組んでいる。
そこで今回は「中学や高校の部活動の一部請け負い事業」の
可能性について考察していきたい。
教員の抱える課題
昨今、様々な企業で人手不足が課題となっている。これは学校の教員も同様だ。平成29年文部科学省が11の自治体に向けてアンケートをとった。その結果、常勤・非常勤合計すると小学校は1自治体あたり約30人、中学校は約25人教員が足りていないという結果となった。その要因として、就業時間の長さが考えられる。ベネッセのデータによると2016年時点における教員が学校にいる平均時間は12時間程度。さらに部活動を含め土日出勤をしているという教員は中学校で74.5%、高校で52.4%に上った。
教員が部活動を見るデメリット
そもそも教員が部活動を見ることに関してはデメリットがある。まず教員の知識不足だ。顧問それぞれが担当する部活の種目に関する知識はまだ合っても、成長期にある中高生のフィジカル面に関して深く理解している人は少ない。生徒の将来を考えてもより知識が必要だが、日々の業務に追われながらさらに知識を身につけることは難しい。次に教員自体の負担の大きさだ。人手が不足しているにも関わらず日々の授業や生活指導をこなしながら部活動を見るのは負担が大きい。
部活動委託事例とメリット
そんな中でフィットネスクラブに部活動を一部委託した事例が1つある。2019年秋頃に広島県府中町の教育委員会は中学校の部活指導を一部、全国でフィットネスクラブを運営するルネサンスに委託する取り組みを始めた。町内2校に月1回という頻度で2020年3月までで50万円の契約を締結している。内容としては、放課後体育館に運動部員を集めて、約1時間疲労回復や怪我予防の体幹・筋力トレーニングを実施している。これによりルネサンスのもっているノウハウを活かせるだけでなく、教員の知識不足をカバーできることは利点と言える。
課題と可能性
しかし課題はまだ山積みであることは否めない。まず教員の就業時間が変化するのかは疑問が浮かぶ。確かに毎日部活動を見る教員の負担は軽減されるが週に何度かのみ部活動を見るという教員は就業時間の減少には繋がりにくい。さらに外でトレーニングをするため教員が帯同しなければいけないとなれば元も子もない。またフィットネスクラブのトレーナーといえど、教えることができる内容には限界がある。特定のスポーツに特化した内容(例えばサッカーにおけるドリブルや野球における素振りなど)を教えることは難しく、フィットネス系のトレーニングだけだと毎日見ることはできず、事業として限界がある。そのため今後は教員が帯同しないことに関して保護者に承諾を得る、さらには各民間クラブが独自の資格(特定のスポーツの部活顧問に携われるライセンス)制度を設定し、各学校へ派遣する体制が整えば部活を一部どころか完全に委託でき、学校側の人手不足解消、フィットネスクラブ側の新たな事業軸として成り立つ可能性は高まっていくだろう。
人手不足が各業界で顕在化する中、自社のできることを最大限発揮しながら、
各企業同士支え合っていくことが今後は非常に重要であると感じました。