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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2020-02-01 MAiL 特集記事

あなたはご存知?浅草寺以北の裏浅草

浅草といえば浅草寺ではなく…「通」は知ってる、知る人ぞ知る「裏浅草」

浅草というと思い浮かべるのは何か。やはりほとんどの人が浅草寺であろう。
しかし浅草をよく知る、いわゆる”通”の方々は他のエリアも同時に思い浮かべるかも知れない。
その代表が浅草寺から北側に行った裏浅草(観音裏)と呼ばれるエリアだ。
現在、浅草の穴場としても人気を高める当該地だが新築マンション市場からその人気ぶりを探る。

知る人ぞ知る浅草とは…

突然だが浅草といえば、恐らく殆どの人は浅草寺周辺(雷門や仲見世通り等)を思い浮かべるであろう。しかし真に浅草を知る人はそれだけではなく、大まかに分けると下の図1のようなエリアの認識を持っている。中でも現在注目を浴びているのが、③の裏浅草エリアだ。浅草3~7丁目にあたるこのエリアはレトロで洒落た飲食点が多く点在し、浅草寺などの賑わったエリアに近くもありながら対称的で落ち着いた雰囲気の街並みだ。この浅草寺周辺とのギャップが大きな魅力となり、近年新たな穴場スポットとして秘かに人気を集めている。また生活の面においてもTXと東側(銀座線・浅草線等)の両「浅草」駅にバランスよい距離にあることに加えて千束通りと呼ばれる商店街もあるため「住む浅草」としても人気のエリアだ。

1 浅草・エリア別特徴

実績から見る住む浅草

では実際にこの裏浅草エリアが人気なのかを新築マンション市場の視点から探っていきたい。過去5年間でこの浅草3~7丁目で発売された新築マンションは下の図2の物件がある。中でも最も人気があったのは「ザ・パークハウス浅草」だ。TXと銀座線の両「浅草」駅に徒歩7分であったことに加えてエリアと事業主ブランドの相乗効果もあり、発売からわずか半月で完売を達成。2019年に都内で発売された物件の中で最も早期期間で完売を達成した新築マンション(サマリネット調べ)となった。その他、完売済みの物件は全て4~5ヶ月完売と非常に好調な売れ行きを見せている。

2 過去5年間でこの浅草3~7丁目で発売された新築マンション

反対にその他エリアを見てみると、まず①の浅草1~2丁目エリアに関してはそもそも供給が少なく、あっても必ずしも好調というわけではない。やはり、観光地という位置づけであり、居住場所には見られていないと予想される。次に②の西浅草・合羽橋におけるマンション供給は③エリアと同程度に供給されているものの売れ行きは堅調。恐らく、「純粋な浅草アドレスではない」、「銀座線浅草駅まで距離がある」といった理由がこの結果を生んでいると考えられる。最後に④の奥浅草エリアは②,③エリアには届かない程度のマンション供給があるものの「銀座線の浅草駅から離れ過ぎている」「他の駅の方が近くなり、そもそも浅草物件とは呼び難い」といった理由から、不調物件が目立つ。このように相対的に見ると、③の裏浅草(観音裏)エリアは浅草の中でも特に好調なエリアと言える。

人気ながらも課題あり

しかし、新築マンション販売においてこの裏浅草と呼ばれる人気エリアにも課題はある。それは地元の人や浅草通の人など通常より深く浅草を知った層でなければ知らないエリアということだ。例え同エリアで新築マンションを供給しても、そもそもどこなのか、自分の知っている浅草ではないと思われては本末転倒である。すなわち浅草を好んでいようとも造詣の深い人でない場合、上手く裏浅草の理解を得なければ販売していくことは難しいのだ。

その証拠となるのが2010年に裏浅草エリアで同程度の単価で販売された「サンクタス浅草レジデンス」と「ガーラレジデンス浅草」という2物件。前者はパンフレットの中で浅草3丁目(裏浅草)の訴求を行い、後者は同エリアについては触れていなかった。恐らく後者は既に同エリアについて理解のある足元をメインに集客する意図があり、訴求をしなかったと予想される。しかし、結果として両物件とも半数は中広域からの流入となり、浅草三丁目訴求をしっかりしていた前者の方が好調な売れ行きであった。もちろん単純にこれだけが原因とは言えないが、競合を出し抜いた1つの要因と言えるだろう。すなわちただ販売すれば売れるエリアではなく、エリア理解を得ることが非常に重要なエリア。それが裏浅草なのである。

裏浅草はこれから激戦区に

裏浅草の人気は今後発売予定の物件数からも垣間見える。現在「浅草」駅最寄りで計画されている物件(実需向け)は計6件、次のものがある。

実に計画されているうちの約80%が裏浅草エリアに竣工する予定だ。しかもこれほど競合が重なるのは約10年ぶりであるため立地や商品性からいかにして差別化を図るのかが鍵になるだろう。また今年は東京五輪が控えており、浅草の観光客増加は既定路線。そのため観光地の面においても穴場スポットとして栄えていくことが予想される。住むエリアとしても観光エリアとしてもこの裏浅草に2020年はより一層注目が集まる。

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大山恭平

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