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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2022-04-01 MAiL 特集記事

行政区の努力による変化と今後の期待が見込めるエリア

23区内で唯一「消滅可能性都市」に
指定された豊島区は、以降様々なまちづくりの取り組みを行い、
大きく人口増加。マンション市場でも、市場の活性化が見られた。
行政区の努力によって市場の活性化に至った他事例と
現在のまちづくりで、今後大きく期待されるエリアを見ていく。

豊島区の努力

2014年5月、豊島区は23区内で唯一消滅可能性都市に指定された。豊島区は即座に緊急会議を開催し、翌年の2015年に持続発展都市を目指して「豊島区国際アート・カルチャー都市構想」を決めた。これによって再開発が促進されたことで、2016年に南池袋公園がリニューアルオープン、2019年に中池袋公園やイケバスの導入等、「池袋」駅周辺がめざましい発展を遂げた。さらに2019年の「東アジア文化都市」国内候補都市として選定。2015年時点で27.5万人だった人口が、2020年で30万人が目前になり大きく人口増加が見られた。それではマンション市場はどう変化したのか。

元より「池袋」駅自体の駅力が高く、生活利便性が高いこともあり、市場としては進捗しやすいものの、やや単身者向きな傾向。実際、2011年販売の混在型物件プレミスト西池袋は4.4戸/月ペース、2014年販売の混在型物件グランドミレーニアは3.7戸/月ペースと売れ行きが鈍った。後者のグランドミレーニアは、当時の相場から単価が100万円程度高かったことで不調になったと考えられるが、2021年販売の混在型物件オープンレジデンシア池袋も単価相場から100万円程度高かったものの9.5戸/ペースで好調に進捗した。また、2019年販売の混在型物件クレヴィア池袋イーストは4.7戸/ペースの堅調に進捗。2015年の「豊島区国際アート・カルチャー都市構想」決定後、緩やかではあるが、ファミリー向けマンションの市場が活性化されていることがわかる。それでは行政区の取り組みによって市場に影響を与えた他のエリアを見ていこう。

所沢市の変貌

東京都に隣接する埼玉県所沢市は、2014年に株式会社KADOKAWAとの共同プロジェクトとしてCOOL JAPAN FOREST 構想を取り決め、拠点施設として「ところざわサクラタウン」という大型施設が2020年末に竣工。また「所沢」駅西口では大規模な再開発が計画されており、駅前のイベント広場をはじめ、商業施設を核とした複合施設、公園など全4区画に分かれた特色ある土地利用や施設を整備していく方針で、周辺の街路の開発や、業務機能を備えた都市住宅の配置も計画しており、合計約8.5haの開発面積となる。

上記見ていくと、所沢エリアでの売れ行きは2020年までは50戸当たり月2戸ペース程度での進捗となっておりやや鈍りやすい市場であった。しかし「ところざわサクラタウン」が開業や「所沢」駅西口再開発の話が出てきて以降、ザ・パークハウス所沢プレイスは10.4戸/月ペース、プラウド所沢寿町が14.7戸/月ペースで完売に至った。来場者という点では「所沢」駅最寄りの物件は2020年以前、半数以上が所沢市からの来場であったことに対し、2020年以降では30~40%と、足元層の割合が減ったことから、コロナの影響だけでなく「ところざわサクラタウン」及び「所沢」駅西口再開発によるエリアの注目度の上昇が考えられる。行政区によるエリア活性化の取り組みに伴って、マンション市場が活性化されるとなれば、これから狙い目になるであろう市場が考えられるのではないだろうか。

現在行政区による開発が進むエリア

まず挙げられるのは2016年に「そうかリノベーションまちづくり構想」と、生活の豊かなまちにする取り組みを掲げた草加市だ。草加市自体が、完全にベッドタウンという位置づけで、転入者と以前から草加市に住んでいる居住者と交流が不足している点、都市型産業が不足していることで草加市内を楽しむことが出来ないといった点から、月々のイベントなど、様々な取り組みを進めている。その中で、草加松原団地内に2023年以降に商業施設が開業予定で周辺住民からも期待が高まっている。次に、エリアごとに取り組みが細分化されている足立区「北綾瀬」駅周辺地区。「北綾瀬」駅周辺地区では、大規模商業施設、駅前広場、住宅地区など約4.2haに及ぶ開発が計画されている。

これによって、今後のマンション市場における期待値も高まっているのではないだろうか。他にも、消滅可能性都市として指定されている埼玉県飯能市は2005年に「森林文化都市」を宣言し、自然と都市機能を調和させたまちづくりを進めており、市が誘致したムーミンバレーパークが2019年に開業。次に定住化に意識が移っており、補助や金利優遇の住宅ローンなどのサポートが充実している「飯能住まい」制度の利用を進めている。既述の3エリアをはじめ、各行政区で街の活性化・人口増加の取り組みを行っており、大きく街並みが変わるようなエリアでは市場の変化に期待が高まる。

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中島理絵

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