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既に市場に変化あり 期待高まる向ヶ丘遊園
駅力差で優位な隣駅
小田急線が通る「向ヶ丘遊園」駅。駅の南側は飲食店やスーパー・商店が多く点在している上、同駅を最寄りとする大学もあり賑わいのある学生街。一方で、北側は多摩区役所があるなど居住エリアとしては最適な街並みが広がっているのが特徴だ。しかし、居住地エリアとしての需要は2路線が交わる隣駅「登戸」の方が高いだろう。理由は駅力にある。「登戸」駅には小田急線で、「向ヶ丘遊園」駅には停車しない最も早い快速急行が通り、「新宿」駅に最短約16分でアクセス可能だ。加えて、JR 南武線も通っていることから、「川崎」駅や「立川」駅とのダイレクトアクセスが出来る。さらに南部線の場合、通勤時は5本/時程、当駅始発便があり通勤ラッシュを回避することができる。
不動産目線でのポジション
実際に新築マンション市場で見てもその差は歴然としている。下記(参考①)が2015以降の供給マンション過去事例だ。
まず、最寄り駅別の平均価格差は、およそ500~1,000万円ほどの差が生まれている。加えて、月平均成約を見ると「登戸」は「クリオ登戸」のように1か月で完売達成をした事例もあり、販売中の「(定借)パークホームズスクエア」も2ヵ月で40戸が成約し、現在は残2戸(6月中旬時点)となっている。一方で「向ヶ丘遊園」は「登戸」と比較すると月平均成約数1~2戸/月の物件も散見され、完売までに2年近く要した事例も見られる。この点から住宅需要において「登戸」の方が優勢と言えるだろう。
風向きが変わる・・?
しかし、そんな向ヶ丘遊園のマンション市場にも変化の兆しが生まれ始めている。以下は直近に発売された「ミオカステーロ向ヶ丘遊園Ⅱステーションプレミア」だ。同物件は「向ヶ丘遊園」駅から徒歩3分の立地で、全29戸が2ヵ月で完売に至った。先行事例と比較しても明らかに平均成約数が上がっていることがわかる。理由としては駅近物件、広専面に加えて2018年に発表された再開発だと考えられる。
かつて、「向ヶ丘遊園」駅には南口から徒歩15分で現在の生田緑地の一角でもあった位置に遊園地があった。当時は賑わいを見せていたが、遊園地としての黄金時代が過ぎ、2002年に閉園を余儀なくされたのである。しかし2018年11月末、このエリアの再開発が決定。(向ヶ丘遊園跡地利用計画)かつての向ヶ丘遊園が残した豊かな自然を生かし、「人が集い楽しむ場」として2023年竣工予定だ。本再開発は大きく3エリアに分かれており、1つ目はアウトドア系施設やグリーンショップ等が設置される自然体験エリア(39,300㎡)。2つ目は自然の中に設置される広場で買い物や飲食ができ、ゆっくりとくつろげる空間になる商業施設エリア(29,900㎡)。3つ目は緑に囲まれた環境の中で伝統的な日本家屋様式の温浴施設や多様な機能を備えた着衣サウナ、豊かな自然環境と都心までの眺望を併せ持つ露天風呂ができる温浴施設エリア(25,600㎡)が計画されている。
需要に拍車がかかるか
過去の再開発以前・以後の月成約数を見ていくと、再開発計画発表年後の月成約数が開発発表前と比べて増加していることがわかる(参考②)。本件同様神奈川県の例で見ていくと綱島駅東口再開発に月平均成約数は再開発発表年後に約44%上昇。また南町田の駅直結大型商業開発の例を見ると、平均月成約数は約172%上昇している。
そんな再開発の期待が高まる向ヶ丘遊園には現在、野村不動産が全163戸の大規模分譲マンションを計画中だ。本件は南口から徒歩5分程度、再開発エリアにも徒歩10分程度の好立地といえる。大手ブランドの大規模分譲に加えて再開発の期待感がさらに強まれば直近の「ミオカステーロ」同様、早期完売も十分にあり得る。
これまで「向ヶ丘遊園」は居住エリアとしての需要は駅力の差から隣駅「登戸」に劣っていたかもしれない。しかし、今後は向ヶ丘遊園跡地の再開発によって不動産界隈からの目線も変わっていくのではないだろうか。
(※各マンションデータはマンションサマリを参考)