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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2020-09-28 MAiL 特集記事

差別化は商品だけではない~プロモーションコラボで広告差別化~

プロモーションで差別化。不動産業界もこの波に乗り切れるか。

「ニューノーマル」というキーワードの元、変化の年となっている2020年。
このキーワードに合わせて不動産供給サイドも時代に合わせて、
そして差別化要素を設けようと各社様々な商品における
企画開発を行っている。しかしそんな中で、
他業界に目を向けるとコロナ禍で予想以上に大ヒットした
「あつまれ どうぶつの森」とのプロモーションでのコラボ企画が流行。
この例に倣い、不動産業界のプロモーションコラボ事例を
振り返るとともに有効性や今後の展望を考察していく。

コロナ禍で続出した「あつ森」コラボ

新型コロナウィルスの影響で、店舗の運営・イベントの実施・新商品の発売などを含め、各社計画していたことが軒並み中止になっている。そういった計画変更に伴い、広告予算が削られ限られた予算をどのように使っていくのかも1つ課題になっている。コロナの影響でリアルな広告物は制作しづらく、人を集めることもできない。よってインターネットを利用してどう広告していくかが鍵となった。そんな中、コロナ禍で大ヒットした「あつまれ どうぶつの森」とのコラボが流行している。

図①はほんの一部に過ぎず他にもコラボした企業や施設は計50を超える。特に多かったのがアパレル産業を中心にブランドの洋服をゲーム内でも着ることができるようにしたコラボ企画。また、同じゲーム業界の中でもコラボ事例があるのも驚きだ。他にもコロナ禍で来館数が激減した美術館が絵をゲーム内で鑑賞できる企画をしたり、「Gillette Venus」はゲーム内のアバターがより自分自身を再現できるようにスキンカラーや肌の細かい部分までカスタマイズできるデザインコードを配布。「台湾IKEA」はカタログで公開しているインテリアをゲームにて再現。そしてコラボではなく、利用という形だが「ARCH」は会社説明会をゲーム内で行い注目を集めるなど、多数の「あつ森プロモーションコラボ」が2020年話題をさらう形となった。

不動産業界におけるプロモーションコラボ

では不動産業界においてプロモーションコラボをした事例はどのようなものがあるだろうか。いくつかピックアップして取り上げていきたい。

「イマジンフィールド東久留米」×「ハクション大魔王」
1つ目にアニメ作品とコラボしている事例として再開発地区内PJ「イマジンフィールド東久留米(住宅生産振興財団:2020年11月発売予定)」が「ハクション大魔王」とコラボ中。同アニメは2020年4月より、リメイクされた完全オリジナルストーリーでアニメ化。現在の子供から親世代まで幅広く認知されている作品ということもあり、イメージキャラクターに起用されている。

「cowcamo」×「Blue Bottle Coffee」
2つ目にエンタメとは違う業界とのコラボ事例として、都内の中古・リノベーションマンションを掲載する「cowcamo」が2018年1月から「Blue Bottle Coffee」とコラボしている。内容は初めて内見をする人に都内ブルーボトルコーヒー全店で利用できるチケットをプレゼントするものとなっており、ユーザーは自分が住むかもしれない街や物件を、少々身構えて慎重に考えるのではなく、リラックスしてお洒落な感覚を味わいながら街や家での暮らしを考えてもらうことができる。

「Woman.CHINTAI」×「イラストレーター」
3つ目は不動産仲介の「Woman.CHINTAI」はInstagram運用にて同SNSで人気のイラストレーターとコラボしている事例だ。実際に住んでいる人をイメージしたファッションやヘアスタイルの女性をイラストで描き「住みたい街・ライフスタイル」を訴求している。同アカウントのフォロワーは5.8万人に及び、ユーザーは直感的に自分に合った住まいエリアを比較して選ぶことができる。

プロモーションコラボの有効性

では不動産を供給する事業主にとって、プロモーションコラボはどんなケースであれば有効なのか。まずはメリットとデメリットから整理していきたい。(図②)メリットは何よりも認知・来場してもらいやすくなる可能性が高まることだ。先述したアニメやイラストレーターとコラボであればユーザーは親近感を憶える上に他の不動産広告と一線を画すことができるため記憶に定着しやすい。また飲食店とのコラボであれば実際に来場や内見のハードルを下げることが可能だ。そんな「知る」「覚える」「行く」をしやすくさせることがメリットとなる。ただ反対にデメリットとして当然費用はかかる上に実施してもただコラボしただけでは、コラボ「した」or「していない」で効果有無が確認できない。また実施したことにより同ブランド他物件に影響を与えてしまう可能性がある。例えばとある物件で一般ファミリー向けに「アニメコラボ企画」を実施したが、同ブランドの富裕層をターゲットにした他物件にてイメージ低下に繋がってしまう可能性がある、ということだ。そんな「費用対効果」「ブランド全体への留意」が課題に成りうる。

プロモーションコラボの有効なケース

先述したメリット・デメリットを考慮すると有効性が高そうなのは例として図③が考えられるだろう。1つ目はオリジナルブランド名で発売するケースだ。この場合、同ブランド名の他物件が存在しないためブランドイメージ低下にはならない。2つ目は中広域集客がメインとなるケース。こちらは外からの流入を促すため「知る」「覚える」「行く」のハードルが地元集客物件よりも高いため有効と言える。3つ目は物件として話題性の生みやすいケース。これは先述した「イマジンフィールド東久留米」が当てはまるが再開発内でのPJなど既に話題になりやすい要素があるとその話題性にブーストをかけやすくなる。以上が実施しやすい例になるが、実際に各社が今後このような広告の差別化を図るかは不透明だ。しかし2020年に入って各社ウェブサイトやウェブ広告などリアルからネットに力を入れるよう変化していることは事実だろう。そんな中、本記事で記したようなプロモーションコラボの実施を試みようと決断する企業は増加していくのか。今後は商品企画だけでなくプロモーション企画も注目の的になりそうだ。

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