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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2020-07-22 MAiL 特集記事

数字で見る自粛期間営業の販売結果

具体的な数字で見る自粛期間営業の結果

新型コロナウィルスの影響で2020年4~5月にかけて
緊急事態宣言が政府から出され、
各業界営業をストップするのが一般的であった。
しかしそんな中でも細心の注意を払い営業していた店舗や
施設もあったことも事実であり、新築マンション業界も同様だ。
ではこの一見すると非合理な販売戦略の結果はどうだったのか、
具体的な数字を元に見ていく。

自粛期間に敢えて営業

政府から緊急事態宣言が出された4~5月、ほとんどの事業主は各物件の営業をストップさせていた。その証拠に不動産研究所によると過去2年間(2018.6~2020.6)、新築マンションの販売戸数/月においてこれまで首都圏では供給戸数が1,000戸を下回ることがなかったが、2020年4月には最低の686戸供給(昨対比52%減)、翌月には393戸供給(82%減)と最低記録を更新する結果となった(下記のグラフ①)。しかしそんな中でも換気やマスク着用などの一般的な対策に加えて、完全予約制にするなどの徹底対策をして営業を続けていた物件もある。時間ができ、外出先が少ないからこそ来てもらいやすい、といった予想のもとに講じた販売戦略だ。ただ、自粛期間中の営業に本当に効果はあったのだろうか。

来場数や契約率はいかに

では来場者数と契約者数はいかに変化したのだろうか。マクロとミクロの視点で見ていきたい。まずマクロ視点で見るとモデルルームの来場はなんと新型コロナウィルスが上陸する前後で半減どころか80~90%減少したところが続出した(参考:SUUMOジャーナル)。しかし一概に悪い点ばかりではない。不動産研究所によると首都圏新築マンションの2020年4月の契約率は過去3年間(2017.6~2020.6)で最高の78.9%(昨対比22.7%増)を記録。5月は72.3%(昨対比20.5%増)と4月からは少々落ち込んだものの70%台をキープした(下記のグラフ②)。

次いでミクロ視点で見るとどうか、以下2物件を参考に見ていきたい。

来場者数・歩留まり率に関して以下のような結果となった。

まず来場者数について両物件ともに4〜5月の平均は直近の2〜3月平均より45%〜65%減少。一般的に来場者数の伸びやすい4・5月は緊急事態宣言の影響で大きく減少する結果となった。一方で歩留まりに関しては、Aが通期と比較すると2倍以上高い結果となり、加えて両物件とも4~5月に来場者数が落ち込んだにも関わらず契約者数は通期で比較的横ばいの結果となっている。

自粛期間営業まとめ

結果、緊急事態宣言で自粛期間となった4~5月に敢えて営業を続けた物件について、来場数は大きく落ち込んだが、購入意欲の高い顧客の取り込みには成功し、契約率も歩留まりも比較的高い数値を記録した。そのため少ない来場者の中で効率よく契約を獲得できる機会であった。また実際に購入者の声を聞くと「家探しは『不要・不急』ではなく『要・急』であり、1日でも早い購入を希望していた」「購入したい時期に営業していてよかった」「コロナ対策もしっかりされていて逆に安心できた」と一定数営業していたことや営業する上での取り組みに対して評価の声もあった(参考:長谷工アーベスト)。今回の結果を受けて今後同様の事態が起きても購入意欲の高い人は動いてくれる可能性が高いため、一概に購入する人はいないとは言い切れない。そのため少なからず実在する需要に応えるのか、世の中の流れに合わせた姿勢を見せるのか、優先順位を改めて考える必要がありそうだ。

結果から見える将来予測

先述の内容から供給数や来場者数の減少、しかし購入意欲の高い顧客の来場で契約率・歩留まり率が高かったという結果が感覚的な理解から理論的な理解へと変化したのではないだろうか。ではこのコロナウィルスが収束した際にこの数値は元に戻るのだろうか。答えは“No!”だ。今回の一件で事業主はオンライン接客やHPコンテンツの充実を図る物件が増加した。そして今後もこのスタイルは当たり前になるどころか5Gの導入等でさらに加速すると考えられる。すなわち行かないと得られない情報量が減るのだ。この予測が実現すれば今回の一件ほどではなくとも購入意欲の高い人が来場するようになり、歩留まり率は上昇していくだろう。さらにその充実した情報の開示を早めに行い、購入意欲が高まった時期に供給をすることができれば契約率も上昇していく可能性もありえる。すなわち数年後は来場=購入の詰めの段階、供給=需要の高まった段階となり、より営業が効率化されていくだろう。

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大山恭平

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