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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2022-07-25 MAiL 不動産

同じエリアだけど…そのプロジェクト、エリア特性に沿いますか?

マンション販売において重要なエリア特性。
販売戦略に大きく響く要素だが、
例外のケースも存在する。
実際の例外事例と戦略の予防策とは?

その販売戦略、適切?

マンションや戸建での販売戦略を考える中で、最も不動産業界らしさが色濃く出る部分は“エリア特性”である。これは一部業界にも該当するものの、不動産という商品を販売する上での特徴的な因子であり、商品自体の特性以外では最も分析すべき事項といっても過言ではない。
例えば集客を行った場合に、もともと同エリアに居住している人が回遊し外のエリアへの転出が少ない場合、転出・転入数が多く住む人の流れが激しい場合等様々なケースが存在し、市場に適した広告媒体を組み合わせることで、販売を促進させる。市場を分析していくとエリアごとの特徴が紐解かれるが、同エリアでも一概に同様の特性を持たない場合もある。
では、同行政区で近接したエリアにもかかわらず異なる特性を持ち、主な流入に差が生じたマンション販売事例を紹介していく。

世田谷区①

比較すべき一つ目の事例は、住みたい駅ランキングにも登場する自由が丘駅を最寄りとした物件である。駅周辺には賑わいのある商店街が複数存在し、ショッピングに訪れる人も多く知名度が高い駅である。街の知名度は高い自由が丘エリアだが不動産という目線から見た特性としては、都内からの流入はあまり見られず主に横浜周辺からの流入を狙っていくという戦略が定説とされている。
自由が丘駅最寄りとして販売されたのは駅徒歩20分超の駅遠物件で総販売戸数は30戸程度。周辺物件は、Web広告を中心に行っていたものの、販売状況は芳しくなく苦戦を強いられる状況であった。一方で、当物件は冒頭から投函チラシを実施していた。すると、足元層が反応を見せ、成約につながっていった。来場した顧客によると、この物件自体をそもそも認知しておらず、チラシ投函のおかげで物件認知に至ったとのこと。さらに、同エリア内に競合が存在しておりお互いの存在を認知しておらず、チラシによって認知するという状況になった。定石であったWeb広告での顧客流入は少なく、投函チラシを行うことで顧客に認知してもらえるようになり、足元顧客流入が増加するという結果となった。

世田谷区②

二つ目の事例も同様に世田谷区内物件で、時期や事業主に違いはあるものの①事例と近しいエリアである尾山台駅遠物件として供給。駅前の商店街も石畳できれいに整備されており、ゆったりとしていてどこか上品な印象がある。その中でも、高級住宅地としても評価が高いアドレスにこの物件が立地している。
販売戦略としては①の事例に倣い、足元エリアの投函チラシを広告開始から初めの期間のみ重点的に行い、部数に対して一定の来場が無かった場合、Web広告を重点的に行うといった戦略を立てていた。すると、当初は足元エリアの反響があったものの、すぐに客足が鈍くなったため、広告の主軸をWeb広告に変更した。結果的には世田谷区・目黒区・大田区を中心に来場が見られ、冒頭での周辺エリア特性・集客の定説と近く、東京都内ではあるが神奈川県に面した行政区が主な集客エリアとなった。

2つの状況の違い

地図上で比較してもかなり近い場所に立地している2物件であるのにも関わらず、一体なぜ主な集客媒体及びエリアに差が出てくるのであろうか。
まず、自由ヶ丘と尾山台という2つのエリアの特色が影響していると考える。両エリアとも知名度は高いが、きらびやかなイメージと共にネームバリューとしても名高く、外からの訪問者が多い自由が丘に対し、世田谷区らしい上品な雰囲気を持ち、落ち着きのある高級住宅地の尾山台。町の持つイメージとしては賑わい×落ち着きといった、やや両極的な特徴をもっており、特に自由ヶ丘エリアに限って言えば、先述した住みたい街ランキング入りだけではなく、同時に住みたくない街ランキングにもランクインしている。これは自由が丘に対して憧れで住んでみたいものの、長く住むには住みにくそうという相反した思いが伺える。そのため自由ヶ丘をしっかり知った上で長く居住している足元層がチラシにより物件を認知し購入に至ったのではないだろうか。一方で、尾山台は“落ち着いた高級住宅地”といったイメージが強くあることから、ここに物件を購入すれば間違いないだろうという思いで中域層が購入に至っていると考えられる。

このように、近い立地でも集客エリアが異なるケースが存在することもあるため、まずは仮説から戦略を立て、うまくいかなかった場合にどう改修していくかあらかじめ予防策を練る必要がある。分析・仮説・集客戦略、さらには予防策を含めた広告戦略を検討される場合は、是非一度弊社にご相談いただければと思う。

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中島理絵

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