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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2023-04-26 MAiL 不動産

駅遠でもなんのその。 志向を捉えて早期進捗。

新築マンション=資産価値重視の時代

現在のマンション購入の要因として、資産価値を求める層が年々増加している。株式会社リクルートが毎年調査している首都圏新築マンション契約者動向調査によると、マンションの購入理由として「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」と回答している人は年々増加傾向にあり、2022年には全体の30%が回答。

「子どもや家族のため、家を持ちたいと思ったから」と回答している人の割合に次いで2番目に購入理由として多い項目となった。よって、資産価値の高い駅近マンションのニーズがますます高まっていきそうな流れだが、そんな中でも市況と逆行して駅遠立地だが好調に進捗していたケースとその要因を紐解いていきたい。
物件はJR総武線の「西千葉」駅から徒歩22分・千葉モノレール駅徒歩7分の新築マンションだった。駅近の需要が高まる時代とは逆行して、最寄りは千葉モノレールと駅力には優れているとは言い難く、都心に出るためのJR駅までは20分以上を要する立地が課題にあげられそうな物件だった。また加えて市況も先行の勝ちパターンからははずれている状況だった。当然、JR駅からは離れている関係もあり、JR駅周辺の物件とは15~20%、相場の坪単価からは乖離があったものの、過去物件はJR駅近辺の供給が多く、市場が活性化しているタイミングで当該地の物件も比較検討され、価格優位性から進捗するのが成約ペースをあげるポイントだった。

しかし当物件供給時はJR駅周辺の物件供給がなく、市場が活性化しているどころか無風状態ともいえるタイミングでの供給だった。そんな立地懸念と参入タイミングに脅威がある中で、集客をしていかなくてはいけなかった。

本件強みと成約ペースをあげるポイント

ただ本件に全く強みがなかったわけでもない。本件は平均面積が80㎡を超えており、 昨今のグロス圧縮の流れとは逆行し、面積帯の確保された物件だった。「千葉」駅周辺で見ても、3LDKの平均は70㎡程度であり、都内では60㎡台が最近は通常だ。中には3LDKで50㎡台というマンションも見られる。そんな中で本件は平均80㎡台であり、それ以外にも、共用施設の充実・戸建てとの複合開発といった強みがあり、全体的に広々とした住空間のある物件だった。しかし、既述したように市場が活性化しているわけではない。そのため、まずは本件に気付かせるためのきっかけづくりとして、面積を中心にした広々としたイメージを与える広告を制作していき、物件周辺とJR総武線「西千葉」~「稲毛」の沿線周辺居住者中心に認知させていく方向で広告をスタートさせた。

販売後の結果はいかに

駅遠立地・そして市況として無風状態の中で本件に気付きを与えるために、面積帯・共用部・複合開発といった広々とした印象を軸にし、足元中心に広告。そして結果と見てみると全87戸が10カ月で完売達成に至った。中でもやはり平均面積80㎡台の広面積帯が大きな魅力となり、購入に至る層が多かったのが特徴的だ。
またそれ以上に特徴的だった点は当初の見立てと違い、ターゲットエリアが駅遠ながら広域からも見られていた点だ。当初の見立てでは、物件周辺とJR総武線「西千葉」~「稲毛」間で60%は獲得していく見立てだったものの、蓋を開けてみると最終的には50%を切っており、その分千葉市以外の千葉県内や都内など広域からの来場が見られた。また広告媒体別で見ても、ポータル含むインターネット関連からの来場が70%近く見られており、こちらも想定以上だった。

時代はグロス圧縮であるものの…

この事例から分かる大きなポイントとして広さ志向はまだまだ顕在化しているという点だ。
特に本件は課題ともしていた通り、JRの駅まで距離があったため、ポータルでも引っかかりづらい。加えて昨今の駅近の需要が高まり続けている市況からしても、広告しても広域からの集客はほとんど見込めない想定だった。ただそれでも、住戸の広さがフックとなり、広域からの来場も見られた。特に昨今、価格の高騰もあり、都内の駅近マンション中心にグロス圧縮の傾向が顕著に表れており、広々とした家に住みたいという需要は減少しつつあるように思えるが、実際はそんなことはなく、駅遠でもしっかり顧客が付いてくることがわかった物件だった。時代の流れを捉えた上での商品開発は非常に重要な一方で、いつになっても顧客は変わらず求めているものもある。これから先の商品開発も時代の流れを捉えると同時に、本当にその流れに乗るのが正なのかを考えながら商品開発をしていけば、他社とは違ったニーズに応えることができるかもしれない。

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大山恭平

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