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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2023-02-28 MAiL 不動産

不動産リスティング広告の「指名検索」。これって意味ある?

新築マンションや新築戸建の広告手法として一般化しているリスティング広告。検索エンジンにて設定をしておいたキーワードを入力すると、上位に広告として表示させ、公式サイトに誘導する手法だ。そんな中、よく議題にあがるのが指名検索は本当に必要か否かというもの。本文ではこれについて実際のデータを元に紐解いていきたい。

そもそも指名検索って何?

話しの土台としてそもそも指名検索とは何か、ということから整理していきたい。指名検索とは商品の名前で検索されることを示すものだ。飲食店であればその店の名前。ネット通販であれば売りたい商品。不動産であれば物件名やプロジェクト名を指す。不動産の場合、リスティング広告において、その物件のある「エリア」×「マンション系」とともに設定される鉄板のキーワードだ。指名検索をされた際に広告表示をさせておく意義は大きく2つある。1つ目は自然検索で上位表示させるためのアクセスを稼ぐことだ。不動産の場合、公式サイトをアップしても、序盤は指名検索されても最上位に表示されることはない。特に同じエリアで先行して同ブランドの物件を販売していた実績があるとそちらが最上位に表示されてしまい、誤認を生んでしまうケースもある。そこでアクセス数を稼ぐためリスティング広告で指名検索を設定することは多い。

2つ目は常に最上位表示させるためだ。指名検索された際に自然検索で最上位にくるようになっても、競合物件が自社の指名検索をリスティング広告のキーワードとして設定している場合、広告として自然検索の上に表示されることが多々ある。すなわち、自社の物件名で検索してくれているユーザーが自社サイトの上に広告で表示されている競合物件にアクセスしてしまう可能性(図①)があり、それを防ぐために設定することが多い。

指名検索の設定って必要?

ただ、そんな中でよく耳にするのが自然検索で最上位に来ていれば、リスティング広告の指名検索って不要なのではないか、というものだ。なぜこのような意見が生まれるのか。それはそもそも自社の商品、不動産で言えば物件名やプロジェクト名で検索しているユーザーが広告で上位表示されている別の物件サイトをクリックすることはないのではないか、という理由からだ。確かに物件Aで検索しているユーザーは物件Aのことを調べたくて検索しているため、いくら上位に物件Bや物件Cがあっても物件Aにしっかりと流入してくれると考えるのは自然なことだ。そのため、指名検索に対してわざわざお金をかけて広告キーワードを設定する必要があるのか疑問視する声は多い。一方でそれでも予算をかけた方が良いとする意見もある。理由として、そもそも指名検索はクリック単価が比較的安い傾向にある。そのため、予算としてもそれほど大きくかけずとも広告含めて検索最上位を確保できるなら、しておいた方が良いという意見だ。加えて、リスティング広告はリンクのすぐ下に広告表示オプションと呼ばれる、別のリンクを設定できる(図②)。

実際に結果は変わらない?

では実際に指名検索を広告キーワードに設定した場合と設定せずに自然検索からのみの流入を図った場合で変化はあるのだろうか。それぞれのコンバージョン数(資料請求+来場予約の合計)を2つの案件を事例に比較していきたい。

2つの案件を見ると、指名検索をなくした翌月から全体のコンバージョン数が減少しているのがわかる。特に埼玉県の事例からは自然検索のコンバージョン数に変化なく、純粋にリスティングの指名検索からのコンバージョン数が減少する形となった。よって、広告で指名検索を外せばその分自然検索から流入すると見込んでしまうのは機会損失に繋がってしまう可能性がありそうだ。

それでも予算がない場合…

実際にデータを見てみると、ただ自然検索で最上位にあるからといって、指名検索を広告からなくしてしまうのは機会損失になる可能性があることがわかったが、それでも予算の関係で満足に金額を割けない場合もあるかもしれない。そんな中でも予算を掛けた方が良いシチュエーションはどんな場合だろうか。これは大きく2つ考えられる。1つ目は競合が同商圏内にある場合だ。競合がある場合、自社指名検索をキーワードとして設定するケースがあるため、競合対策として最上位を確保するために予算を割いてでも設定すべきだろう。2つ目はリアル媒体で短期間の間に広告展開をした際だ。具体的には投函や折り込みチラシ・DHなどを実施した際は物件認知も高まるため、指名検索を設定すれば連動性が生まれやすい。このように常に周囲の状況や他広告の展開からメリハリをつけていくことで最適化を図っていくことができるだろう。

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マーケッター

大山恭平

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