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ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2023-01-25 MAiL 不動産

シニア層をターゲティング。ネット広告集客ってそもそも可能?

シニア層=リアル媒体?

昨今、不動産販売における広告手法はリアル媒体からウェブ媒体にシフトしつつある。そもそもポストにチラシを投函しても見ずに捨てられてしまう、新聞の購読率の低下、これらが原因で投函・折込チラシも10年前に比べたらかける予算は減少しているだろう。代わりにスマートフォンの普及もあって、web媒体が主流になりつつある。SUUMOなどのポータルサイトや検索の際に表示されるリスティング広告などがこれにあたり、最近では完全にweb媒体にシフトしている事業主も散見される。ただしシニア層をターゲティングすることに至っては、このイメージはまだ低い。理由としてはそもそもスマートフォンがまだ普及しきっていない世代だから、持っていても20~40代の層ほど使いこなせていないのではないか、といったイメージがあるからだろう。そのため不動産販売においてシニア層をターゲティングする際にはいまだリアル媒体や紹介が主流だというイメージが強い。ただし、このイメージは本当に正しいのだろうか。

今やシニア層も使いこなす

では未だにシニア層は従来の集客手法が適切なのか否か、まずはデータを元に検証していきたい。そもそもスマホの普及率についてMMDLabo株式会社によるとシニア世代のスマートフォン所有率は2017年では51.3%であったのに対し、そこから年々右肩上がりで増加。2022年の調査では89.0%の人が所有していると回答している(表1)。次にスマートフォンを利用したサービスの利用率について見ていきたい。モバイル社会研究所によると60・70代のうち「LINE」を利用する人は2019年時点では44%だったのに対し、2022年では66%にまで増加(表2)。うち60代に至っては80%の人が「LINE」を利用していると回答(表2)。

一方で「Facebook」「Instagram」「Twitter」については2019年当時=5%前後だったものが、2022年=10%前後まで増加(表3)し、伸びているもののまだまだ利用する層は少ないとのこと。最後にSBIエステートファイナンスによると60歳以上の「YouTube」利用率は87%にも及んでおり(表4、2022年調べ・PC視聴含む)、中でも音楽や政治経済の情報収集を主に「YouTube」からしている層が多いことがわかった。(ちなみに金融・不動産の情報収集をすると回答した層は19%)。以上のことからシニア層もスマートフォンを使いこなし、主に「LINE」や「YouTube」といったサービスは当世代も使いしている層が多いことが昨今の調査からわかるポイントだ。

実際に集客は可能?

既述した通り、シニア層もスマートフォンが普及し、主要なサービスを利用する層も増加してきていることがわかった。では、実際にそういった媒体を駆使して集客をしていくことは可能なのだろうか。実際に高齢者向けに販売をしているマンションで実施した下記3つを事例にみていきたい。
■LINE広告…月間で15~20件の電話問い合わせ獲得
■スマートニュース広告…月間で3~4件の電話問い合わせ獲得
■TVer CM広告…1日あたりのユーザー数が20~50%増加

結果の前提としてシニア向けに不動産を販売してく場合、資料請求や来場予約をするフォームの手間が大きなハードルとなり、電話問い合わせが多いことから、これを重視して実施後の検証を行った。1つ目に既述した昨今約70%の人が利用している「LINE」にて広告を実施。ニュース記事などに紛れて、同物件の広告を掲載した。

すると「LINE」広告経由で月間15~20件の電話問い合わせを獲得。運用額に対してきっちりと効果が表われた。2つ目に利用者の30%以上が60歳以上であるニュースアプリ「スマートニュース」の記事欄に広告を掲載。結果としては「スマートニュース」経由で月間に3~4件の電話問い合わせを獲得。しかしこれはほぼ同額で運用した「LINE」広告と比較するとわかりやすいが、大きな成果には繋がりづらい媒体だった。3つ目にテレビ番組の見逃し配信などで利用されるTVer。2019年から2022年で60代以上の利用者が3~4倍と他世代と比較しても最も伸びているサービスということもありCM広告を実施。ただし、当媒体はCMを流すのみでそれをタップするとサイトに遷移させることができるわけではないため、純粋なサイトのアクセスユーザー数で検証。結果としてユーザー数は20~50%にまで増加し成果を得ることができた。

シニア層もweb集客は可能?

以上の事例からシニア層についてもweb媒体の集客は全てではないにせよ、結果として表れ始めている。当然、今後の時代の変化によって効果媒体も変化していくが、スマートフォンの普及率やスマートフォンを利用したサービスの利用率は現在の40~50代がシニア世代になっていく点を考えれば今後も増え続けていくことは間違いないだろう。よってリアル媒体からweb媒体へシフトしている不動産広告の流れは今後よりいっそう加速してくと考えられ、事業主側も時代に合わせて変化していく必要がありそうだ。

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マーケッター

大山恭平

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