ARTICLE記事一覧

ユニフィットの社員が、担当プロジェクトの広告実績を紹介したり、日々感じていることなどを書き綴っています。またマーケッターが市場の動向を切り裂くフリーペーパー『MAiL』や世の中の(生活者の)トレンドやニーズ、価値観を把握し、広告制作へ反映するために行っている定量調査の分析も公開しています。

2022-09-26 MAiL 不動産

郊外でも散見されるコンパクトマンション。購入者はどんな人?

マンション業界において耳馴染みのある
言葉となった「コンパクトマンション」。
最近では実績のない準郊外・郊外での
供給も見られるが、
果たしてそのようなエリアで
実際にどのような層が購入しているのか。

コンパクトマンション=都心部だけではない

マンション業界において、「コンパクトマンション」という言葉は新しい形態のものではなくなった。単身やDIKNS・シニア夫婦などをターゲットにしたそれは狭面積帯であるが故に都心部の好立地に分譲されることが1つのメリットだ。しかし、昨今は都心部だけでなく、準郊外・郊外と言われるようなエリアにも供給が目立つようになっている。
実際に、1都3県の中で東京23区を除いたエリアのコンパクトマンションの供給推移を見ていくと2019年頃から大きく増加していることがわかる(グラフ①)。

このような傾向にある理由は、建築費の高騰に伴う、マンション価格の高騰が考えられる。元々はこの解決策としてグロス圧縮をして供給することが多く見られていた。都心部のコンパクトマンションが多く見られるようになった要因の1つもこれだと考えられる。しかし、それでもマンション価格の高騰は留まりを見せずに、昨今はこの波は東京23区外にまで及んでいる。市場全体としてマンション価格が高騰し続けているため、これらのエリアでも同様の傾向が表れていると言える。そのため、中には当然エリア初となるコンパクトマンションだった事例も見られるが、東京23区と準郊外・郊外エリアだと特色も変わってくる。

元々は23区内のコンパクトマンションであれば、バリバリ働く比較的若年層の世代が勤務地利便や将来的な資産性を視野に入れて購入するケースが多く、都心に近いからこそ、中広域からの流入も多かった。ただし、準郊外・郊外エリアは23区内と比較すると既述したメリットは薄くなる。実績もなく、エリアとしてもコンパクトマンション市場がまだ顕在化していない。そんなエリアでの供給でも、同様のニーズは見られるのだろうか。3つの事例を元に実際にどんな人たちがターゲットとなったのか紐解いていく。

エリア初のコンパクトマンション事例

その1:「松戸」駅徒歩5分物件

1つ目はJR常磐線の「松戸」駅徒歩5分の立地で2018年に分譲されたコンパクトマンションだ。当該エリアでのコンパクトマンションは初であり、全く実績のない中での供給だった。実際に販売を開始すると購入している層の足元:中広域の割合は6:4。特徴的だったのは来場者のうち40代後半以上の割合が60%を超えていた点だ。特に50代の割合が約30%と最も多く、前住居を見ても、持家の戸建てやマンションが約40%を占めた。すなわち、足元の10年以上前に既に住宅を購入している層が買い替えやセカンドハウスとして購入しているケースが目立ったのが特徴的だ。


その2:「南浦和」駅徒歩5分物件

2つ目はJR京浜東北線の「南浦和」駅徒歩5分の立地で2020年に分譲されたコンパクトマンション。当該エリアでは販売開始から2年程前にコンパクトマンションの供給はあったものの、それより前は殆どコンパクトマンション供給の少ないエリアだった。
結果として、購入者は足元:中広域=4:6程度の割合。年代は20代後半~30代前半までで半数を占め、都内のコンパクトマンションとは大きく遜色ない傾向だった。ただ、残りは40代後半や50代以上となったが、これらの層は足元層に多かった点は特徴の1つだ。逆に中広域層で40代以上は1/4にも至っておらず、足元は40代以上・中広域は20~30代という傾向となった。


その3:「武蔵浦和」駅徒歩3分物件

3つ目はJR埼京線「武蔵浦和」駅徒歩3分の立地で2021年に分譲されたコンパクトマンション。こちらも過去にコンパクトマンションはシニア向けマンションのみであり、ほぼ実績がない中での供給だった。購入者は足元:中広域=4:6程度の割合。年代は40代が約25%・50歳以上が約25%であり、こちらも40代以上が半数を占めている点が特徴的だ。一方で20代や30代前半は各約10%と購入者は比較的少ない。

3つの事例から見えるターゲット

昨今増加しつつある、準郊外・郊外のコンパクトマンションだが、購入者は足元の比較的年代の高い層であることがうかがえる。すなわち、バリバリ働く若い世代がアクセス利便や資産性を考慮して購入するというケースよりも、ある程度そのエリアに住み続けた40代が「いっそのこと、この辺りで家を買ってしまおう」或いは50代以上の世帯が「現居が古くなったので終の棲家を求めて家を買い替えよう」、そんな気持ちでコンパクトマンションの購入に至っているケースが多いと考えられる。逆に20~30代の若年層についてはこれからの転勤や都心部と比較した際の資産性を考慮すれば、準郊外・郊外エリアで購入するハードルは少々高いようにも感じているのかもしれない。やはり東京23区内と外ではエリアとしての特性も分かれてくるために、顧客の志向や属性も分かれてくるのが実際に販売事例から見られる傾向だ。そのため今後のコンパクトマンションの広告戦略においても、一概に若い世代に向けて発信をしていくだけではなく、エリアによってはより上の世代をターゲットの視野に入れつつ、訴求するポイントや広告媒体の選定を行っていく必要がありそうだ。

MAiL10月号 PDFはこちら

CATEGORY

TAG

WRITER

名前

この記事を書いた人

マーケッター

大山恭平

関連記事

一覧に戻る

このサイトでは、アクセス状況の把握や広告配信などのために、Cookie(クッキー)を使用しています。このバナーを閉じるか、閲覧を継続することでCookieの使用に同意するものとします。
詳細はコチラ詳細はコチラ

OK